ノロウイルスについての解説

ノロウイルスについて

ノロウイルス(Norovirus)は、非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一属である。感染者の糞便や吐瀉物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染するほか、河川を経由して蓄積された貝類の摂食による食中毒の原因になる場合もある。ノロウイルス属による集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。「NV」や「NoV」と略される。

ノロウイルスは約7,500塩基を持つ、プラス鎖の一本鎖RNAウイルスに分類されるエンベロープを持たないウイルスの属名である。ウイルス粒子は直径 30-38nmの正二十面体であり、ウイルスの中では小さい部類に属する。

通常、ウイルスについての詳細な研究を行うには適切な動物培養細胞を探して感染させ、ウイルスを増殖させることが必要であるが、ヒトに感染するノロウイルスについては実験室的に増殖させる方法がまだ見つかっていない。このため、検査や治療方法に対する研究が他のウイルスと比べて格段に遅れているのが現状である。乾燥した状態でも、4℃では8週間程度、20℃では4週間以上感染力を失わないとされている。