所得税(しょとくぜい)とは
担税力の源泉を、所得、消費及び資産と区分した場合に、個人の所得に対して課される税金のことをいいます。
所得税の分類
所得税は広義の所得税と狭義の所得税に分類できます。
- 広義には、狭義の所得税のほか、国税(中央税)における法人の各事業年度の所得に対して課せられる法人税や地方税における住民税、事業税などもこれに含まれます。
- 狭義は、1月1日から12月31日までの1年間に生じた個人の所得に課税される税金(国税)の事を指します。この税金に係る実体法として、日本では所得税法(昭和40年3月31日法律第33号)があります。
ここでは、主に上記2.の狭義の所得税について書いています。
個人所得税
所得税は、累進税率や各種人的控除をミックスすることにより、租税の垂直的公平を保つのに有効な租税です。
現代の日本やアメリカでは国税の税目の内最も高いウエートを占める基幹税で、所得税の徴収方式としては確定申告で馴染み深い申告納税方式と源泉徴収方式があります。税収に占める割合は後者の方が高いといわれています。
メリットとデメリット
メリット
申告することによって税金への関心を高め、ひいては政治への関心を高める。
累進課税を導入した場合、富裕層から多額の税を徴収することができ、所得の再配分がおこなわれる。
累進課税を導入しても高所得者の労働供給が抑制されないことが実証により示されている(高い所得税を課された場合に労働供給をしなくなりやすいのはむしろ低所得者である)。
デメリット
累進課税を導入した場合、制度や税金の計算が複雑である。
累進課税を導入した場合、中高所得層の勤労意欲をそぐ。自由主義者とされるフリードリヒ・ハイエク、ミルトン・フリードマンは、所得は貢献度に応じて支払われるべきものであり 累進課税等による所得再分配政策は認めない。しかし、その一方では貧困問題を放置するべきではないという姿勢を一貫してしめしている。
節税・脱税が行われやすい。働き方によって所得の捕捉率が異なる問題(クロヨン)があり、必ずしも公平・平等ではない。
所得税が実際に勤労意欲にどのような影響を与えているかは不明であるという指摘がある。